PROBLEM課題
人生100年時代に求められるシニア向けキャリア開発
政府の「人生100年時代構想」では、年齢に関わらない新たなチャンレジや学び直しが奨励されています。50代はまだ人生の折り返しであり、定年に向けて仕事人生を閉じていくのではなく、新たなキャリアビジョンを検討する機会も必要です。しかしながらシニア層を対象とした人材育成の機会は限られており、特にキャリアプランに関してはこれまであまり支援がなされてきませんでした。また研修をするとしても、会社から"やらされる"ものではなく、主体的かつ前向きにキャリアについて考えられるように、従来型の研修のしつらえとは異なるアプローチが必要でした。
APPROACH実施内容
-
2冊の自伝を制作することでキャリアのこれまでとこれからを考える
これまでの仕事人生に誇りを持ちながらも、新たなキャリアビジョンをワクワクしながら考えられる仕掛けとして、架空の「自伝」を"2冊"作成するワークショッププログラムを開発しました。1冊目は、文字通り自叙伝として、50代までの仕事人生を振り返り、社会や後輩に伝え残したいメッセージを言葉にするためのものです。自伝のタイトルと表紙を試行錯誤しながらデザインすることで、キャリアの「これまで」を振り返ることを意図しました。そして2冊目は、「1冊目の自伝がベストセラーに!」という想定のもとで、1冊目の10〜20年後に出版するであろう「2冊目の自伝の架空の出版企画書を作成する」という、キャリアの「これから」を構想できる仕掛けとしました。
-
内省を支援するさまざまな足場かけと工夫されたワークシート
遊び心あふれる課題設定だけでなく、キャリアを振り返り、ビジョンを構想するための思考プロセスを支援するための丁寧な足場かけにもこだわりました。自分のキャリアを精緻に振り返るためのオリジナルのモチベーショングラフ作成シート、対話を通して自分の意外な一面を発見するための質問カード、前向きにキャリア展望を考えることを動機づけるための理論と事例の解説、未来の歩みを想像するためのワークシート、また本物さながらの書籍の表紙をデザインすることができる豊富なテンプレートの用意など、ツールキットのデザインの細部にも工夫を凝らしました。
RESULT結果
楽しみながらキャリアを深く考えられるプログラムの完成
ワークショップデザインのテクノロジーをフル活用することで、50歳以上のシニア社員が楽しみながら自身のキャリアについて深く考えることができるワークショッププログラムが完成しました。
2018年10月には、サントリーシステムテクノロジー株式会社様の技術者の方を対象に、第1回目のワークショップを実践させていただきました。ファシリテーションは共同開発者であるトレノケート株式会社の田中淳子氏とミミクリデザインの安斎勇樹が共同で実施しました。結果、個性溢れる魅力的な"自伝"たちがが次々に生まれ、「定年退職するつもりだったけれど初めて60歳以降の働き方を前向きに考え始めた」という感想も聞こえ、無事に大成功を収めました。
今後、ミミクリデザインから認定を受けたトレノケート株式会社の講師がファシリテーターを務め、本プログラムを展開していく予定です。
POINT ポイント
-
1
受講者の年齢や特性に合わせた「2冊の自伝を制作する」という課題の設定
-
2
遊び心のある活動と丁寧な足場かけワークの組み合わせによるプログラムデザイン
-
3
幅広く展開・普及することを視野に入れた細部にこだわったワークシートのデザイン