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ワークショップデザイン
ファシリテーション実践ガイド

ワークショップの基本から活用する意義、プログラムデザインやファシリテーションのテクニック、企業や地域の課題解決に導入するためのポイントや注意点について、最新の活用事例と研究知見に基づいて解説します。
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PROJECT DETAIL

未来のオフィス空間における「多様性から生まれる創造性」をリサーチする

ダイキン工業株式会社が発案した空間IoTデータベースプラットフォームを活用したソリューション創出プロジェクト「CRESNECT」構想。この構想に共感する6社によって立ち上げられた株式会社point 0は、2019年、その第1弾プロジェクトとして「未来のオフィス空間」を実現していくための会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi」をオープンしました。こうした中でミミクリデザインは、「point 0 marunouchi内に存在する多様性がどのような創造性を実現しているのかを探究したい」という同社の依頼を受け、ワークショップを中心としたボトムアップ型のリサーチプロジェクトの設計・進行を担当。point 0における創造性・環境・多様性を表す新しい言葉の生成をゴールに据え、施設の中に散在する創造性のかけらを収集し、最終的にひとつの冊子(ZINE)にまとめました。

  • Client

    ダイキン工業株式会社

  • Period

    3ヶ月

  • Member

    小田裕和、佐藤比呂、田中風花、淺田史音、田中真里奈

PROBLEM課題

多様な働き方を支援する空間の「創造性」を定義する

空間データの協創プラットフォーム「CRESNECT」の第1弾プロジェクトとして2019年にオープンした、未来のオフィス空間を実現していくための会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi」。同施設では、空間における多様性を大事にしながら、オープンイノベーションの創出や新たな価値創造を実現するための取り組みを日々続けています。また、オープンから一年が経つ中で、「空間の多様性がどのように創造性に寄与しているのか?」や「そもそも空間の多様性はどう成り立っているのか?」など、空間内の多様性と創造性の関係を改めて探究し、明確なデータや言語として共有化したいというニーズを抱えていました。

APPROACH実施内容

  • 施設内の創造性のかけらをボトムアップ的に収集・言語化

    point 0の運営に携わる複数のコミッティ企業に所属する12名を対象とした本プロジェクトでは、創造性を定義する上での最初のフェーズとして、全3回のワークショップを中心に構成したリサーチ活動を設計。「point 0における創造性・環境・多様性を表す新しい独自の言葉が生まれる」ことをゴールとして設定しました。また、point 0という空間で過ごす利用者の何気ない行動の中に埋め込まれた”創造性のかけら”をボトムアップ的に収集し、言語化するための手段として、パターン・ランゲージの手法を採用しました。

  • オンラインワークショップを用いて、多様性と創造性の関係を可視化する

    全3回中、第1回と第2回ワークショップはオンライン上で実施しました。第1回では、まず参加者がpoint 0という空間で過ごす中で創造的な自分やチームを実際に体感したシーンを共有したのち、point 0で過ごす日のタイムラインを書き出し、その中で創造的だと感じたシーンを抽出するワークを通じて、point 0における創造性のイメージを明確にしていきました。第2回では、point 0が持つ多様性の側面に目を向け、空間としてどのような多様性を許容しているのか、その結果、人々の感覚や認識、関係、行動がどのように多様化しているのかをマッピングし、可視化するワークを行いました。

  • 理論と実践をパターン・ランゲージを用いて繋ぎ、創造性のエッセンスを体感する

    第2回ワークショップ終了後、収集された情報を整理・分類し、全81種類のパターン・ランゲージとして構造化しました。最後の第3回ワークショップでは、実際に「point 0 marunouchi」へと赴き、分類したパターンのリアリティを確かめながら、多様性と創造性の関係性について改めて議論を重ねました。パターンの構造化は創造性を扱う学術論文を多数参照しながら行われ、それらをワークショップでも活用することで、各パターンが立脚する理論について、プロジェクトメンバーが体感的に理解を深められる設計を施しました。

RESULT結果

成果物を小冊子にまとめ、チーム内で創造性について語る土台を形成

ワークショップとリサーチを通して見つけたpoint 0の多様な創造性は、最終的に一つの小冊子(ZINE)としてまとめました。また、本プロジェクトを通して、それまで漠然と体感されていた創造性の輪郭が明確になったことで、チーム内でpoint 0における創造性について語り合う上での土台を形成することができました。プロジェクトの今後の展望として、今回生み出したパターンの中から、特にpoint 0を象徴するものを選別したのち、数値化のための実証実験を進めていくことが予定されています。

POINT ポイント

  • 1

    ワークショップとリサーチを併用したボトムアップ型のプロジェクト設計

  • 2

    パターン・ランゲージを活用し、創造性などの抽象概念を言語化

  • 3

    得られた知見をまとめた小冊子を制作。チーム内で創造性への認識を共通させ、今後の展開の足場を形成