PROBLEM課題
異なる役職間のコミュケーション不和がもたらす組織機能の低下
社会福祉法人みねやま福祉会は、ある部門において、慢性的な離職率の高さに課題を抱えていました。この課題を深掘っていったところ、管理職層・ユニットリーダー・現場職員の職階間の意思疎通がうまくいかず、現場職員のモチベーションの低下を招いていることが離職の原因として仮説的に浮かび上がりました。みねやま福祉会はこの課題を解決するにあたり、ユニットリーダーを対象とした研修を行いたいと考えていましたが、座学型の研修では日々の現場との乖離が大きくなってしまう懸念があります。実践を伴うワークショップ型の研修を通じて、管理職層と現場職員を繋ぐユニットリーダーが対話的なコミュニケーションの心構えと技法を身につけ、深い信頼関係を築いていける組織風土を実現していくことが求められていました。
APPROACH実施内容
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管理職層と現場を繋ぐユニットリーダー向けのファシリテーター育成研修の実施
ユニットリーダー十数名を対象に、深い信頼関係を構築するために有効なファシリテーションの心構えとスキルを身につける全3回の研修を行いました。第1回ではファシリテーションの基本的な知識や心構えを学び、第2回ではトレーニング・ワークを通じてそれらを体得していきました。最後の第3回では、「そもそもなぜ私たちはファシリテーションを学ぶのか?」や「学んだ先で、私たちはどんなリーダーになっていきたいのか?どんな組織をつくりあげていきたいのか?」といった根本的な問いをテーマとして、管理職層も加わり役職の垣根を超えた対話的活動を行いました。個人の思いに寄り添った語り合いによって、研修で学んだ内容を現場で活かす姿を具体的に思い描くとともに、組織の将来に対するイメージを合致させていきました。
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アンケートの質的分析による研修の効果検証
研修の事前・事後に自由記述式のアンケートを全4回実施しました。そこから得られた意見を質的に分析し、本ファシリテーション研修の効果検証を行いました。「傾聴」や「場のデザイン」、「コミュニケーションの活性化」などの観点において意識の変容が認められたほか、コミュニティに積極的にコミットする意識の向上など、課題としていたモチベーションに関する項目でも改善が見られました。
RESULT結果
コミュニケーションに対する意識向上と、共通の言語・体験を通じた交流の発生
今回の研修を通してユニットリーダーと管理職層が個々で捉えている今の組織課題や今後目指していきたい組織やリーダーとしての在り方について語り合ったことで、今まで触れてこなかった相手の本音や情熱を知り合うことができ、結果的に互いが役職を超えた信頼関係を築くことができました。
また、各研修毎に行った自由記述式のアンケートの分析結果から、参加者の中でのファシリテーターの役割イメージの変容と具体的なスキル面での学習が確認されています。研修終了後のヒアリングでも、研修に参加したユニットリーダーが実際の会議でファシリテーションを活用している様子や、次のユニットリーダー候補として参加していた若手職員たちが今回の研修を通して意識を高め、その後無事ユニットリーダーに昇格し、現在はファシリテーション型リーダーシップを活かしてより良い職場環境の構築に尽力している様子などが報告されています。
POINT ポイント
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1
日々の業務に寄り添った、ワークショップ型の研修デザイン
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2
役職の垣根を超えた対話の場の実現
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3
アンケート調査の質的分析による研修の効果検証