PROBLEM課題
実際のユーザーである中学生が「伝える力」を学ぶCM制作ワークショップの設計
ベネッセコーポレーションは、「まなびライブラリー」を利用する中学生に対し、コミュニケーション能力の基礎となる「発想力」「判断力」「表現力」「グループによる課題解決能力」を鍛え、21世紀に活躍する人材として育成していきたいと考えていました。また、「まなびライブラリー」をあまり活用できていない中学生にも「まなびライブラリー」を利用してほしいという広報の観点の理由からも、実際にサービスを活用する中学生を対象としたCM制作のワークショップを実施しました。
APPROACH実施内容
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「伝える力」を学ぶための、遊び心と動機付けの工夫
今回のワークショップでは、参加者である中学生の「伝える力」の養成をワークショップにおける学習のねらいとして設定しました。伝える力は、実際に相手に伝える体験や伝えるためのコンテンツを制作することで学ぶことができます。そこで、「人に伝える」ことを、楽しく夢中になれる活動を通じて学習していくプロセスが重要視されました。当日のワークショップでは、そのための工夫として、「まなびライブラリーを使ったことがない人が『まなびライブラリーマスター』になりたくなるCMを企画せよ!」というミッションを設け、ゲーム感覚で取り組めるような雰囲気づくりに務めました。また、ワークショップで生まれたアイデアのうち、「まなびライブラリー」内で行われる投票でグランプリに選ばれた作品が実際に「まなびライブラリー」のCMとして映像化されることを事前に告知し、参加者のやる気向上を図りました。こうした、ワークショップ当日だけではなく、その後の文脈も活用した設計が効果的に機能していました。
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どんな中学生でも参加できるプログラム難易度の設計
中学1年生から3年生までの学生が参加する今回のワークショップでは、参加者間の発達や思考力に大きな差がある可能性を考慮して、どんな子でも理解できて楽しめる難易度の活動を設計する必要がありました。そこで、まずは「どんな人に届けたい?」「まなびライブラリーの良さってなに?」といった小さな問いを設け、そこから段階的に問いの難度を上げることで、難しい問いにも無理なく取り組める設計を施しました。またCMのストーリーを表現する際にも、絵や文章による表現といった参加者自身が元から身につけている技術力によって作品の完成度にばらつきが出てしまうリスクを避け、まずはCMのストーリーを即興演劇で表現し、それを写真に収め、4コマで表現するという内容で行いました。誰しもが経験したことがなく、かつ手先の器用さに作品の質が左右されにくい活動によって、生徒の足並みが揃った状態で取り組むことが可能となりました。
RESULT結果
ワークショップを通じて得られた学びと新CMの映像化・公開
全てのチームがCM企画を写真の絵コンテにし、スキットで演じるところまで達成し、どの作品も、中学生ならではの視点から描かれた魅力的なストーリーが展開されていました。また、ワークショップの終盤、振り返りとしてCMを企画する上での難しかったことや工夫したことを参加者の一人ひとりに語ってもらったところ、思い思いに「人に伝える」ということの楽しさと難しさを実感した様子が伺えました。ワークショップ内で生まれた作品に対しては、ウェブサイト内で投票が行われ、グランプリを獲得した作品が実際にCMとして映像化・公開されています(※現在は公開されていません)。
POINT ポイント
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「伝える力」を体験的に学ぶための、遊び心と動機付けの工夫
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2
どんな子でも参加できるように小さな問いを段階的に設定したワークショップデザイン