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ワークショップデザイン
ファシリテーション実践ガイド

ワークショップの基本から活用する意義、プログラムデザインやファシリテーションのテクニック、企業や地域の課題解決に導入するためのポイントや注意点について、最新の活用事例と研究知見に基づいて解説します。
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PROJECT DETAIL

ベンチャー企業の新しい働き方を促進する金属家具の開発プロジェクト

レーザー切断をはじめ、金属加工を專門とする株式会社インスメタルから、「オフィス家具の新たな意味を発明し、新しい働き方を促進したい」と新規自社製品の開発の依頼を受け、オフィス内における個人スペースをデザインする新しいシステム家具「ADDMA(アドマ)」のコンセプト生成からプロダクト設計、ブランドサイト制作を担当しました。※本プロジェクトの前半フェーズは、ミミクリデザインの受託案件ではなく、インスメタルと東京大学の共同研究プロジェクトとして実施。ミミクリデザイン代表の安斎勇樹(東京大学大学院 情報学環 特任助教)が研究代表者を務めました。

  • Client

    株式会社インスメタル

  • Period

    14ヶ月

  • Member

    淺田史音、安斎勇樹、小田裕和、志田雅美、坂間菜未乃、小林実可子、田中研一、モリジュンヤ他

PROBLEM課題

これからの働き方を支援する新しいオフィス家具製品の開発

昨今、企業による働き方改革やシェアオフィス、コワーキングといったワークスタイルの多様化に伴い、オフィスの在り方も徐々に問い直され始めています。そうした背景から、株式会社インスメタルは、これからの時代の働き方をさらに後押しする新たなオフィス家具製品を、自社の高い金属加工技術を活かして開発したいというニーズを持っていました。

APPROACH実施内容

  • 多様な専門家集団がワークショップを通じて織りなすコラボレーション

    本プロジェクトは、編集デザインファームとして企業のブランディングやコンテンツ戦略に取り組む株式会社インクワイア、実空間と情報空間を横断したオフィス設計に専門性を持つ株式会社ツクルバ、卓説した技術を武器に個人の想像を超えたアウトプットを生み出す株式会社スーパークラウズなどのパートナー企業による協力のもと、技術者をはじめ、編集者、建築家、リサーチャー、デザイナーなど、多様な職能を持つプロフェッショナルが一堂に会する全3回のワークショップを中心的な活動に据え、進めていきました。クライアントであるインスメタルが持つ、金属という材質に対する強い思いを基盤としながら、各専門家たちの視点を結びつけ、新製品のコンセプト生成の場をファシリテートしました。

  • 現場に焦点を当てたリサーチによって、生きた情報を収集する

    たとえ魅力的なコンセプトを生み出しても、実際に製品を生産する工場や、購入するユーザーとの目線が合っていなければ、結局絵空事で終わってしまいます。そのため、各回のワークショップの合間には、"現場”の生きた情報を収集することを目的として、ミミクリデザインとインクワイアによるリサーチを行いました。まずはインスメタルの生産現場である工場を見学し、高い加工技術や、企業としての特性について理解を深めていきました。また他方で、ユーザーとなりうるベンチャー企業の働き方やオフィスに対する考え方を、インタビューとデスクトップリサーチの技法を用いて精査していきました。そうした情報はワークショップを通して共有され、コンセプト生成のための切り口を探っていく上で重要な手がかりとなりました。

RESULT結果

決定したコンセプトを形にし、新製品に実装する

リサーチで得られた「神社」というメタファーから、ワークショップの中で「結界性」というキーワードが見いだされ、最終的に「オフィスというオープンな空間の中で、ゆるやかに繋がっているが、確かな心理的境界の中で自分だけの空間に没入できるような家具」という現在のコンセプトの原型となるアイデアが生まれました。その後、実際に実物大の試作品を作ってはフィードバックをくり返し、改善を重ねていきました。特にオフィスの中での個人空間をカスタマイズするための接合部のデザインには大きく力をいれており、試行錯誤を経て、最終的には女性が一人でも自由自在に組み立てられるような製品に仕上がりました。その後、スーパークラウズ・田中研一氏との協業体制のもと、販売に向けたブランドサイト制作のディレクションを行いました。

POINT ポイント

  • 1

    インタビュー、デスクトップリサーチ、参与観察等、多様なリサーチを通じた切り口の発見

  • 2

    専門性の異なるパートナー企業とのコラボレーション

  • 3

    プロトタイプの使用から生まれる新たな使用場面の想定