PROBLEM課題
「編集」を拡張し、人々の日々の営みを支援する
現在、編集者だけでなく様々な人が、編集的な営みを仕事や日々の暮らしの中で実践しています。株式会社インクワイアでは、そうした現状を鑑みて、「編集」におけるコアスキルや考え方を体系化し、異業種や社会全体に広く浸透させること、すなわち「編集の拡張」を可能とする仕組みづくりに取り組むことで、人々の仕事や生活をより豊かにできるのではないかと考えていました。ミミクリデザインがこれまで取り組んできた創造的技能の実践知に関する調査・研究を通じて、「編集」について言語化し、体系化することが求められていました。
APPROACH実施内容
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編集的な技能を持つプロフェッショナルの視座と思考を探る
まずは編集者や編集的な業務に取り組むプロフェッショナルに対してインタビュー調査を行いました。普段の業務フローなどの基本的な情報からはじまり、「編集」に携わる者としての強みや、業務において重要視している価値観などをヒアリングし、「編集」と向き合う上での視座や考え方について深掘りしました。
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情報を整理・分析し、「編集思考」を抽出する
インタビュー調査の後には、専門書や関連書籍の文献リサーチおよびデスクトップリサーチで得られた知見を収集し、インタビューで得られた情報と統合した上で、コーディングを行いました。コーディングの結果をもとにカテゴリ生成を行い、「編集」に取り組むプロフェッショナルが共通して大事にしていた価値観や思考体系を「編集思考」のパターンとして抽出していきました。
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「編集思考」を広く普及させるためのパターンランゲージを作成する
プロジェクトを通して得られた編集にまつわる様々な「知」を、最終的にパターン・ランゲージの形式にまとめました。パターン・ランゲージは「状況」「問題」「解決」の3つの項目から構成される、対象領域の暗黙知を言語化し共有可能な形とする手法です。「編集思考」を持つプロフェッショナルたちの視点や考え方を行動レベルでまとめ、日常的な実践の中に「編集思考」を見出すことを支援するため、構造化と言語化を行いました。
RESULT結果
編集のプロから編集を日常に取り入れたい人までが活用できる、48個のパターン・ランゲージを作成
最終的に48個のパターン・ランゲージを作成しました。編集者にとっては自らの業務や価値観を様々な角度から検討し直すためのツールとして、編集者以外の人にとっては自らの業務や暮らしに編集的なエッセンスを取り入れるためのヒントとして機能しています。また、クライアントが今後の業務の中で新たなパターンを発見した際に、できる限り自らの手でアップデートしていけるような構成を心がけました。
POINT ポイント
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「編集」のプロフェッショナルに対するインタビューとリサーチからの知見の収集
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質的な分析手法による「編集思考」の体系化