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ワークショップデザイン
ファシリテーション実践ガイド

ワークショップの基本から活用する意義、プログラムデザインやファシリテーションのテクニック、企業や地域の課題解決に導入するためのポイントや注意点について、最新の活用事例と研究知見に基づいて解説します。
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PROJECT DETAIL

複雑で困難な社会課題と向き合う場づくりの担い手を育成する

エネルギー政策全般を所管する経済産業省・資源エネルギー庁からの依頼で、高レベル放射性廃棄物の最終処分問題をテーマとした対話やワークショップの場づくりを担うファシリテーターの育成を目的とした、半日間の講座を行いました。様々な価値観や利害関係が複雑に混じり合う、解決困難な社会課題を扱うことから、当日のファシリテーションではなく、その土台となるプログラムデザインの設計に重点を置いた講座として実施しました。
講座のメインワークでは、「高レベル放射性廃棄物の処分地問題について関心が深まるワークショップを設計する」というお題のもと、4人1組のグループプログラムデザインに取り組んでもらい、そこで生み出されたアイデアの一つが、後日関連団体であるNPO法人メディアージ主催のワークショップとして、実際に開催されました。

  • Client

    経済産業省・資源エネルギー庁

  • Period

    1ヶ月

  • Member

    遠又圭佑・野島繁昭

PROBLEM課題

高レベル放射性廃棄物の処分地問題を対話的に解決する

高レベル放射性廃棄物の処分は、事業期間が100年以上に及び次世代を見据えた議論を必要とするなどの要因から、ステークホルダー間の対立が生み出されやすい構造上の課題がありました。そのため依頼主である経産省・資源エネルギー庁は、関連団体による説明会などの施策を各地域で行うものの、処分地の決定にまでは至らない状況が続いていました。
また、そうした状況を鑑みて、中立的立場から建設的に対話を重ねるために必要な場をデザインし、高レベル放射性廃棄物の処分地問題に粘り強く向き合うファシリテーターの育成・参画を推進していきたいというニーズを持っていました。

APPROACH実施内容

  • 「問い」と「プロセス」をデザインし、複雑な課題と向き合う場をつくる

    過去に経産省主催のファシリテーター育成プログラムに参加した方の中から、高レベル放射性廃棄物の処分に関心のあるファシリテーターを公募し、集まった10数名の参加者を対象に半日間のワークショップデザインの講座を実施しました。今回のように様々な価値基準が混ざり合う複雑な課題に向き合う上では、当日のファシリテーションよりも、その土台となるプログラムデザインの精度を高めたほうが効果的であると考え、複雑な課題に対する問いの立て方や、プログラムデザインの内容を中心とした講義を行いました。

  • 対話・ワークショップを実際にデザインし、実践力を身につける

    ワークショップデザインの実践的なスキルを見つけるためのワークとして、4人1組のチームを組んでもらい、「高レベル放射性廃棄物の処分地問題について関心が深まるワークショップ(を設計する)」というお題のもと、プログラムデザインに取り組んでもらいました。その際、「 なぜ高レベル放射性廃棄物を扱う諸問題は難しいのか?」や「本当にこの問題に対して対話は有効なのか?」など、ワークの合間に課題そのものを問い直す機会を設け、参加者の一人ひとりがこのテーマに取り組む意義を再確認しながら、課題の根本的な解決に繋がるようなワークショップの立案を目指してもらいました。

  • 価値観の違いを「対立」ではなく「共創」に活かす

    グループワークを通して、強い問題意識や熱量を持ってワークに取り組む参加者が多かった一方で、他者との価値観のすり合わせや、固定観念の捉え直しに苦心する様子が多く見受けられました。そのままではお互いの価値観の正当性を主張し合う攻撃的な場となる危険性があったため、追加で「グループメンバーの全員が思わず参加したいと思えるような対話やワークショップを設計してください」という新たな課題設定を加えることで、それぞれの価値観を尊重しながら、目線を合わせてワークショップ設計に取り組める状況を作り出していきました。

RESULT結果

講師の想定を超えたプログラムデザインの発案と実施

様々な対話・ワークショップのプログラムデザインが提出される中で、「高レベル放射性廃棄物の処分地問題のステークホルダーの一人ひとりになりきったロールプレイを行うことで、当事者の目線を獲得する」といった、ワークショップの独自の特性の一つである非日常性を取り入れたアイデアが出るなど、講師の想定を超えた創造性溢れるアウトプットが生み出されていたことが特徴的でした。
制作したワークショップは、関連団体であるNPO法人メディアージ主催のイベントとして実際に実施されています。

POINT ポイント

  • 1

    複雑な社会課題と向き合う手段としての「問い」と「プロセス」のデザイン

  • 2

    グループでプログラムデザインを行うことによる、異なる価値観を取り入れたアイデア創発

  • 3

    参加者の情熱と遊び心を取り入れた社会的課題へのアプローチ