PDFCLICK

入門書 無料配信中

ワークショップデザイン
ファシリテーション実践ガイド

ワークショップの基本から活用する意義、プログラムデザインやファシリテーションのテクニック、企業や地域の課題解決に導入するためのポイントや注意点について、最新の活用事例と研究知見に基づいて解説します。
※ダウンロードいただいた方には、 最新情報をメールでお届けします。

PROJECT DETAIL

創薬プロセスに「共創」の種を埋め込み、多様なアプローチで人々の健康を実現する

精神神経などの領域で高い研究開発能力を有する大日本住友製薬からの依頼を受け、組織メンバーがそれぞれの内発的モチベーションに基づいて健康の本質に迫り、コラボレーティブにアイデアを創出し続けられるような組織の土台を形成するプロジェクトを設計・実施しました。プロジェクトは全3回のワークショップを中心に構成され、まずはワークショップが持つ共創の哲学や思想、姿勢を体験から学び取り、その後それらのエッセンスを日々の業務でも活用する方法を検討するなど、非日常と日常の両方の視点を往復しながらより創造的な業務や組織のあり方を探求するプロセスをデザインしました。

  • Client

    大日本住友製薬株式会社

  • Period

    3ヶ月

  • Member

    遠又圭佑、野島繁昭、雨宮澪、淺田史音、志田雅美

PROBLEM課題

主体的・協同的な創薬プロセスに向けた組織的支援の確立

「精神神経領域」「がん領域」「再生・細胞医薬分野」の3領域を軸とした研究開発能力を有する大日本住友製薬株式会社では、患者とその家族がより健やかに自分らしく過ごせる日々の実現を目指し、革新的な新薬を社会に届けてきました。他方で、政策上の規制の順守を重要視することで、研究者の業務への姿勢が画一的になりがちな点や、従来にない事業分野の開拓に向けた創造的なアイデア創出を促すため、異分野との創造的コラボレーションの必要性を感じていました。

APPROACH実施内容

  • メンバーの主体性を起点に、患者の健康に多角的にアプローチする組織をつくる

    人々の健康に資する新たなアイデアを組織的に生み出し続けるためには、メンバーの内発的モチベーションに基づく個人的なアプローチと、それらを束ね、創造的なコラボレーションとして昇華するための組織的なアプローチが噛み合っていることが重要となります。本プロジェクトでは、創薬に携わるメンバーが、それぞれの観点から健康の本質に迫る人材として成長し、組織全体にコラボレーティブな風土を根付かせる最初の足場を作ることをゴールとして設定。企業の未来を担う若手研究者を対象とした全3回のワークショップを実施しました。

  • キャリアの原点や健康に対する価値観を再確認し、主体的なコラボレーションの土台を構築

    ワークショップは、まず導入としてメンバーが患者の健康に関わる上で主体性が発揮されるポイントを探索し、語り合う活動からスタートしました。「研究者としてのキャリアの原点は?」や「どういうアプローチを治すと考えているか?」、「自分にとって健康とはどういう状態か?」といった問いについて語り合うことで、自身の健康に対する価値観への理解を深めると同時に他者の価値観にも触れ、多角的な気づきの獲得を促していきました。進行上のポイントとして、クライアントのマネジャーや中堅クラスの研究者などにもミミクリデザインのファシリテーションチームに加わっていただき、組織の創造性をファシリテートする担い手の育成も視野に入れたプロジェクトを設計しました。

  • ワークショップのエッセンスが日常の創薬プロセスに浸透するための課題設定

    プロジェクトの後半では、「基礎研究から臨床研究、実際の治療までを医者と患者が一体となり行う架空の施設をつくるとしたら、どのようなプロセスを構築するか?」というテーマを切り口に、既存の業務では接点のないセクションの人との関わり合いをデザインするワークを実施しました。これまで体験してきたワークショップの技法の根底にある哲学や思想、姿勢を創薬プロセスに取り入れるイメージを膨らませていくことで、日々の業務において創造的コラボレーションを起こす方法を探っていきました。

RESULT結果

非日常の場を、日常を変革する起点として活用する

ワークショップでは、DSPが強みとする中枢神経系の新薬開発プロセスにおける動物実験の意義が問い直され、新たな方法が提言されるなど、多角的な観点から熱心な議論が展開されていました。ワークショップ終了後に実施したアンケートでは、満足度98%という高い評価が得られたほか、寄せられたコメントからも、事業との向き合い方に関するものから、コラボレーティブな組織づくりの姿勢の獲得に関するものまで、多様な学びが得られたことが伺えました。プロジェクトそのものに対しても、次世代を担う研究開発や新規事業開発など、深い思考力と洞察力が求められる企業や組織の活性化につながる取り組みとして高く評価していただくとともに、こうした取り組みが組織風土改革の一端となり、研究効率の向上といった目に見える成果につながりつつあるとの報告をいただいています。

POINT ポイント

  • 1

    メンバー各自の主体性を起点とした、新たな創薬プロセスの多角的探求

  • 2

    自身の価値観の深堀りと共有による創造的コラボレーションの土台作り

  • 3

    ワークショップの要素が日々の業務に浸透し、組織風土として定着するための課題設定