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対話型ワークショップデザイン 入門-深まるワールド・カフェの作り方【イベントレポート】

REPORT
Hikaru Mizunami
2018.02.27
対話型ワークショップデザイン 入門-深まるワールド・カフェの作り方【イベントレポート】


 

対話型ワークショップデザイン入門 -深まるワールド・カフェの作り方

先月1月20日、2018年最初の講座として「対話型ワークショップデザイン入門-深まるワールド・カフェの作り方」を開催しました。ミミクリデザインの和泉裕之がファシリテーターを務め、会場である東京大学本郷キャンパス福武ホールにて約30名の方にご参加いただきました。
 
今回の講座は、和泉によるワールド・カフェをまず実際に体験したのち、「いま体験したワールド・カフェはどのような構造のもと行われていたのか」を即座に振り返ることで知見を深めていく構成となっていました。そして最後には、これから自力でワールド・カフェを開けるように、ワールド・カフェの根幹である「問い」を立てる力をつけるためのトレーニング・ワークが行われました。
 

 
 

「旅するように対話するワールド・カフェ」

最初に行われたワールド・カフェ体験では、参加者が深く対話にのめり込んでいけるように「旅するように対話するワールド・カフェ」というコンセプトのもと、独自のアレンジや「旅」をモチーフとした意匠が随所に施されていました。例えばこちらの「旅のしおり」では、洗練された外観もさることながら、対話の最中の気づきを「旅の記録」として気軽に書き留めることのできるワークシートの役割も果たしています。
 

 
これらのアレンジを加えつつも、こうした趣向もすべて「ゲストがリラックスしてオープンに生成的な話し合いが行えるような空間」が重要とするワールド・カフェ創始者たちの哲学に根ざしています。そして最後まで参加者が話し合いやすくなるプログラム構成や場のデザイン、ファシリテートに徹している和泉の姿が印象的でした。
 

 
基本的なワールド・カフェでは2~4ラウンドの対話の場が設けられ、各ラウンドの合間に席替えを挟みながら進行していきます。ラウンド中は与えられたひとつの問いについて数人のグループで語り合ったり、考えを模造紙に記すことで考えを深めていきます。今回和泉が場に提示したのは、このような問いでした。
 

“私たちはなぜ語り合うのか?”

 
とはいえ、いきなりこのような漠然とした問いを投げかけられても、参加者としては何から話せばいいのかとまどってしまいます。そこで今回の講座では各ラウンドごとに、「私たちはなぜ語り合うのか?」という大きな問いに関連した小さい問いが設けられていました。
 

ラウンド1:誰との対話が記憶に残っているか?
ラウンド2:語り合うことは本当に必要なのか?
ラウンド3:語り合うことで何を得られるのか?

 
このように具体的な問いから徐々に抽象度を上げていくことで、「私たちはなぜ語り合うのか」という抽象的で大きな問いであっても参加者がスムーズに考えを深めていくことができます。
 
またワールド・カフェでは通常「ハーベスト」と呼ばれる、学びを収穫するためにこれまでの活動を振り返る時間が設けられます。今回の体験ではさらにアレンジを加えて、そのハーベストをグラフィックレコーディングを併用するかたちで行いました。視覚的に自分たちの活動を振り返りながら、自分たちのグループがどのような対話を行ったのか、他のグループの人たちに向けて熱く語られていました。
 

 

語り合いたい時の動機には二種類あるよねって話をしていました。自分の話に共感を得たいがためにする時と、自分の意見とは違う考えに知りたいという時。でも、どちらの場合であっても、知ることで安心したいんじゃないかなって欲求があるんじゃないか、という意見も出てきました。同じだと思っていたのに違ったとか、違ったと思ったのに同じだったとか。どちらでも構わないのですが、そうした交流をすることではじめて目の前の相手とコミュニケーションが取れるんじゃないかな、と。”

 

 

“語り合うことで、新しい考え方に触れていくことができる。そうすると、うまく消化しきれずにどうしてもモヤモヤが残るんですよね。でもそうしたモヤモヤこそがクリエイティブの一歩手前でもあって、このモヤモヤをもとにまた誰かと話して、新しいところにいける。それを繰り返しながら、誰かと繋がったり、より人として成長できたりする。それが直感的にわかっているから、私たちはおのずと対話をし続けるのではないかって思いました。”

 
 

「ワールド・カフェ」を開催するために必要なこと

体験を終えて、すぐに和泉から「いま体験したワールド・カフェはどのような構造で行われていたのか?」という点について解説がされていました。行程や施した工夫の一つひとつについて意義や役割を説明し、ワールド・カフェにおいて外してはいけないポイントはどこなのか、さまざまな事例やフレームワーク用いた理論的なレクチャーがされていました。
 
また最後にワールド・カフェの根幹である「問い」を生み出すためのトレーニングワークが行われました。その内容は、まず二人組を作ってもらい、お互いにインタビューしあったのち、「その人が思わず語りたくなるような問いは何か?」を考えてみるというもの。目の前の相手を参加者に見立て、参加者に合わせて問いをデザインする力をつけることを目的としていました。
 

 
ワールド・カフェを開催するために必要なノウハウを教授することを目的として、今回の講座は開かれました。しかし、「そもそもなぜそのような『語り合う』ための場が必要なのか?」といった疑問もあるでしょう。今回のワールド・カフェ体験のなかで「語り合うことについて語り合う」ことによって、そうした疑問にいきついたグループもあったようです。そして彼らはその疑問について、このように答えていました。
 

発言する時ってこんなこと言ってバカと思われないかなっていう怖さがいつもあるんですよね。ただやっぱり、どこかで自分を曝け出さないと本当に深いコミュニケーションをすることはできないこともわかっていて。そうした中で、怖さに打ち勝つ勇気を持つために、こうした場とか、プロセスが用意されていることが重要なのかもしれないなと思いました。”

 
「対話」の重要性は昨今さかんに主張されています。しかし一方で”腹をわって話す”というのは大きな勇気が必要で、簡単にできることではありません。だからこそまずは勇気を出しやすくなるような場を作っていくことが大切なのではないでしょうか。そのような考えのもと、「対話型ワークショップデザイン入門」はさらなる発展とともに今後も続いていきます。どうぞご期待ください!
 

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