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ワークショップに必要不可欠な「楽しさの中にある学び」の真髄にせまる|ミミクリの本棚 vol.2『プレイフル・ラーニング』

ESSAY
Hikaru Mizunami
2018.02.21
ワークショップに必要不可欠な「楽しさの中にある学び」の真髄にせまる|ミミクリの本棚 vol.2『プレイフル・ラーニング』

 

プレイフル(playful)とは、ひと言でいいますと、「楽しさのこと」。それに続くラーニング(learning)とは「学び」のことですので、 プレイフル・ラーニング とは、「楽しさの中にある学び」という風にも解釈できそうです。おそらく、この概念は「アカデミックな辞書」には掲載すらされていません。むしろ、上田さんが、様々な学習理論にインスパイアーされながら、自ら現場で実践を積み重ねる中で、少しずつ輪郭をあらわにした「概念」であるからです。(p.14)

 

こんにちは、ミミクリデザインの水波です。
ワークショップデザインの学習に役立ちそうな良書を紹介する「ミミクリの本棚」シリーズ。第二回は「プレイフルラーニング-ワークショップの源流と学びの未来(著・上田信行,中原淳)」をご紹介します。
 
 

上田信行先生と「 プレイフル・ラーニング 」

突然ですが、上田信行先生をご存知でしょうか。
 
ワークショップデザイン実践のパイオニア的存在であり、現在も同志社女子大学で教授として活躍されています。しかし、興味深いことに私の周りの上田先生と縁の深い人から話を聞くと、そのような専門性や肩書きから語られることはほとんどありません。
 
その代わりに語られるのは、彼の「スタイル」であったり「思想」であったり「情熱」について。そしてその誰もが「話したくてしょうがない」というふうに、彼にまつわるエピソードを聞かせてくれるのです。
かくいう私も2年ほど前に上田先生の主催するイベントに参加したのですが、「場への在り方」について価値観を根底から揺さぶられるような体験をしました。
 
今回紹介する「プレイフル・ラーニング」という本は、「学び」の専門家である立教大学の中原淳先生を聴き手として、上田先生の半生を振り返る内容となっています。
 
前半は上田先生がまだ学生だった1970年代、「学び」というものがアカデミックの領域においてどう捉えられていたのかや、その後ピアジェや彼に影響を受けた学者たちの活躍やコンピューターの普及などにより「学び」の捉え方がどのような変遷を遂げたのかといったことについて、日米を往来しながら様々な教育機関に身を置いてきた上田先生の視点から述懐されています。
 
そして後半では「学者」あるいは「実践者」として上田先生がどのような活動をし、そうした活動から何を考え今のスタイルにたどり着いたのかが語られています。
 

「この仲間となら、きっとやれそうだ」という予感と信念を持って、「これをやりたい」という情熱と価値観を共有する仲間が集まり、「憧れ」、夢の実現に向かって仲間とともに試行錯誤しながら進む光景。これこそが僕が旅をつづける原動力となった「プレイフル・ラーニング」の原風景なのです。(p.196)

 
ワークショップの方法論や実践例について書かれた本は数多くあれど、一人の実践者の歴史や哲学についてここまで深く掘り下げた本は珍しいのではないでしょうか。そして同時に上田先生の魅力を通じて、副題にもなっている通りに、ワークショップをはじめとした共創の場の原点と今後の可能性の両方に触れられる一冊だと感じました。
 

その他「ミミクリの本棚」シリーズはこちら

深い学びを生み出す“場”のつくりかた|ミミクリの本棚 vol.1『 「未来の学び」をデザインする -空間・活動・共同体 』
 
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