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イベントの集客(告知・宣伝)を成功させる方法

ESSAY
Yuki Anzai
2018.01.17
イベントの集客(告知・宣伝)を成功させる方法

ワークショップ、カフェイベント、シンポジウム、パーティ、勉強会、などなど。学びの場の運営が民主化され、さまざまな領域で実践が拡がり、イベントの告知情報を見かけない日はないほどです。しかしながら、せっかく良いプログラムを企画していても、その価値がうまく伝えられずに「集客」の段階で失敗し、参加者が十分に集まらない、というケースもよく見かけます。参加者が十分に集められないと、十分な収益が確保出来ないだけでなく、参加者同士の交流を前提としていた場合には、イベントのクオリティを担保できません。

 

広報は常に悩みの種ですが、これまでの経験から、参加者を集める上で意識しておきたい「告知・宣伝の方法」について思いつくポイントを並べてみました。

 

1.ターゲットを決め、魅力の核を明確にする

イベントの性質によっては多様な参加者が集まることがイベントの魅力につながるため、無理にターゲットを限定し、絞り込む必要はありません。かといって、宛先のない「あらゆる人」に向けたメッセージは、かえって「誰にも届かない」ということになりがちです。まずはイベントのターゲットをある程度定め、ターゲットの心をつかむ「核となる魅力」を明確にしておくことは必要です。ターゲットと核となる魅力が明確でないイベントは、結果的に告知文が冗長になり、参加者を集めるのに苦労します。

企画者に想いが強いときほど、注意が必要です。概して「企画者が力をいれたところ」は、イコール「参加者にとっての魅力」にはならないからです。参加者の視点からイベントの内容をシンプルに整理し、参加者を惹きつける魅力はテーマ設定にあるのか、プログラムの面白さにあるのか、あるいはファシリテーターやゲストの経歴にあるのか、参加動機につながるフックの在処を探ります。

 

2.わかりやすく魅力的なタイトルをつける

魅力の核が見えてきたら、それを端的に表現した「タイトル」を決定します。タイトルは最初に目に触れる情報であり、そこでターゲットの関心を惹くことができなければ、告知文は目を通してすらもらえません。タイトルは、第一に「わかりやすい」ものである必要があります。イベントのコンセプトやプログラム、あるいはそれ以外の魅力の核が、うまく一読して伝わるように表現できたほうが望ましいでしょう。

第二に「参加者にとって魅力的」であることも重要です。あまりにわかりやすさを意識しすぎると、説明的なタイトルになり、簡単にいえば「ダサい」タイトルになりがちです。そもそもタイトルだけで全てを伝えるには限界がありますから、わかりやすさと魅力のバランスが大切です。理想は「内容を知りたくなる」ようなタイトルです。例えば「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」などは、とてもバランスのよいタイトルだと感じます。魅力的なタイトルに、説明的なサブタイトルをつけるというのも一つの手でしょう。

 

3.ターゲットが参加しやすい日時と会場を選定する

日時や会場も、集客にダイレクトに影響する要因です。ターゲットが参加できる曜日と時間帯(あるいは時期)を考慮し、アクセスの良い会場を選ぶと良いでしょう。例えば、社会人がターゲットである場合、経費を使って業務の一環として参加できるイベントなのであれば、業務時間中(平日の日中)に設定して問題ありません。ところが非公式に参加することを想定するのであれば、家族がいても参加しやすい土日の日中か、「ノー残業デー」の水曜日の夜などが良いでしょう。

会場も、場所だけでなく地域の施設を利用するのか、企業の会議室を利用するのか、大学の施設を利用するのか、その位置づけによっても印象や参加に対する心理的障壁が変わります。僕はよく東京大学の施設を利用しますが、「東大が会場だと敷居が高い」という声もあれば、「大学のイベントは利害関係やしがらみがないので、参加しやすい」という声も企業の方からよく耳にします。イベントのターゲットの立場から、適切な会場を選定しましょう。

 

4.ターゲットにあわせて媒体を選定する

せっかく魅力的なタイトルを決め、参加しやすい日時や会場を決めても、告知がターゲットまで届かなければ意味がありません。ターゲットの「生息場所」を見極め、適切な媒体を選ぶ必要があります。例えば小学生向けの企画を考えているのであれば、保護者に訴求をする必要があるでしょう。そう考えると、twitterで無闇に拡散するよりも、クローズドなSNSで保護者のコミュニティに広報するとか、学校など目に触れそうな場所にフライヤーを設置してもらうことも有効かもしれません。

また、単一の媒体で、単発の告知で決めようと思ってはいけません。告知文を初めて見た段階ですぐに申し込む人は稀ですから、何度もターゲットの目に触れるように、複数の媒体を活用して、繰り返し告知をしていくことが重要です。

 

5.最低3週間以上の告知期間をとり、一本釣りも併用する

告知には十分の期間をとる必要があります。数十名のイベントであれば、3週間前に告知を開始できれば十分ではないでしょうか。1ヶ月かけられれば、なお余裕があります。逆に何ヶ月も前から告知をしても、申し込み時から当日までに時間があきすぎて、直前でのキャンセルが増えてしまう印象があります。ただし、数百名以上の大規模のイベントであれば、1ヶ月以上の余裕をみて、早めに開始しておいた方が良いでしょう。

イベント運営の経験が浅かったり、集客に不安があったりする場合は、公募と並行して興味を持ちそうな友人や知人に声をかける、いわゆる「一本釣り」も併用すると安全です。参加者が知り合いばかりでは身内の集まりになってしまいますが、1〜2割程度を確保しておけば、安心して公募の集客が進められるほか、当日の運営もリラックスできるはずです。

 

6.告知文の作成:重要な情報はなるべく冒頭に置く

告知文には、実践の概要、日時、会場、参加費、主催者の情報、申し込み方法など、参加の判断に必要な情報をすべて掲載する必要があります。そのためにどうしても情報量が多くなってしまいますが、重要なのは「告知文の冒頭」に掲載する情報です。 残念ながら、想像以上に「告知文は読んでもらえない」と考えておく必要があります。たとえ魅力的なタイトルで読み手を惹きつけることが出来ても、告知文の内容が理解出来なかったり、自分にとっての参加する価値が想像出来なければ、隅々まで読まずに読み飛ばすか、最後まで読まずに途中で読むのを止めてしまいます。

まずは最後まで読んでもらわないことには集客には繋がりませんから、なるべくターゲットにとって魅力となる情報を告知文の冒頭に掲載しておくと良いでしょう。また、対象者の属性(大学生向けなど)が明確な場合は、それも冒頭で明示すべきです。過去のイベントの記録があれば、写真を掲載することで、魅力がより伝えやすくなるでしょう。なるべく目に触れやすい場所に訴求力のある情報を掲載し、前半で勝負を決めるつもりで告知文を書くと良いと思います。

 

7.告知文の作成:共感を得ながらも、メリットを提示する

広告デザインの理論を参照すると、読み手に「購入するメリット」を提示することと、読み手の「共感を得ること」のバランスを取ることの重要性が指摘されています。イベントの告知文においても、ただ概要を説明するだけでなく、イベントに参加することで得られるメリットを言語化し、最低限提示することは重要です。例えば、どういうテーマについて学びが深まる可能性があるのか、どういう属性の人達と交流が深まるのかなど、当たり前のことであっても書いておくべきです。参加費が無料のイベントであったり、力の入った企画であるほど、「こんなに良い企画なのだから、わざわざ書かなくても参加者はわかってくれるだろう」と油断すると、痛い目にあいます。読み手の想像力を過信せずに、ある程度は明文化しておきましょう。

他方で、メリットを誇大に表現して畳み掛けると、いやらしく、うさんくさい告知文になってしまいます。また企画者の価値観を一方的に押し付ける告知文では、読み手の共感を得られません。例えば、いきなり単刀直入に「あなたは○○すべきだ」「○○を教えてあげます」と宣告されるよりも、「~は確かに悩ましい問題ですが、○○があります」「○○について一緒に考えませんか」と言われる方が、聞く耳を持ってもらえるということが、広告制作の基本的なノウハウとして知られています。

 

8.告知文の作成:告知文から無闇に逃がさない、不安にさせない

ウェブ上で告知をする際には、告知文から読み手を無闇に「逃がさない」ことが重要です。告知文を読み終えたターゲットが申し込みをすることが「ゴール」だとすれば、告知文の冒頭(スタート)からゴールに至るまでの間に、余計な外部リンクを貼らない方が良いでしょう。どうしてもゲストのウェブサイトや補足ページなどでリンクを貼りたくなりますが、ゴールまではなるべく一本道にしておいたほうが、申し込み率は高まります。

また無闇に「不安にさせない」ことも意識する必要があります。例えば、主催団体、主催者、登壇者プロフィール、連絡先など、信頼性を担保する情報は、告知文の中盤以降でどこかにきちんと載せるべきでしょう。参加費が無料なのであれば、「無料」と明記すべきです。少しでも「あれ?」「大丈夫なのかな」と不安になるポイントがあると、申し込み率は激減します。 同様に、「面倒臭さ」をはじめとする心理的な障壁も少しでも下げておくことが重要です。例えばFAXでの申し込みなどもってのほかですが、atmarkを@に変えてメールしなきゃいけなかったり、何回もクリックしないと申し込み出来なかったり…そういう微妙な「面倒臭さ」が申し込み率を下げてしまいます。「あとで申し込もう」と思ったまま、申し込むのを忘れてしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。 ※ただし、あえて障壁を設ける手法もあります。参加資格、参加試験、抽選、などによる希少性の演出など…

 

9.準備のプロセスを開示し、告知前からじわじわ広報する

告知を開始する前の段階で、企画や準備のプロセスを公開することも有効です。例えば、企画会議の様子や、企画の進捗状況、当日の設営の様子などを、ソーシャルメディアなどを活用してじわじわと開示することで、イベントに対する期待感を高められるほか、告知文だけでは伝わりにくい企画への想いや熱意を伝えることが出来ます。企画に賛同する協力者を得ることにもつながるかもしれません。「まだ申し込みは出来ませんか?」などと問い合わせがあれば、作戦は成功です。多くの人に期待感を持ってもらった上で告知が開始できれば、集客はスムーズに進められるでしょう。

 

10.ソーシャルメディアで拡散してもらうための一工夫をする

ソーシャルメディアを活用する場合には、ちょっとした工夫が告知の拡散を一押ししてくれます。例えば「興味のありそうな方にご紹介ください」と一言あれば、自分が参加できなくても、フォロワーのことを思い浮かべながら拡散してくれるかもしれません。またソーシャルメディアでは情報の流れが速いため、目に留まりやすいアイキャッチ画像の設定も重要です。

 

11.イベントレポートを報告し、ポートフォリオを作成する

継続してイベントを実施していく場合には、長期的に集客効果を高めていくための戦略が必要です。必ずやるべきことは、イベントの様子を写真や映像などできちんと記録しておき、レポートを作成して公開することです。どうしても文章だけでイベントの価値を伝えるのには限界があります。過去のイベントの記録を有効に活用し、実践の魅力をあらゆる方法でアピールし続けることが大切です。

ブログ記事として公開しても良いでしょうし、ショートムービーを動画投稿サイトにアップロードしても良いでしょう。予算に余裕があれば、1年間の実践を綺麗な冊子にまとめて発行しても良いかもしれません。記録を蓄積して実績の「ポートフォリオ」を構築し、実践者としての信頼を高めていくことで、長期的な集客効果につながっていくのです。

 

12.関心のコミュニティを作りながらも、やりすぎには気をつける

前項に通じますが、継続的に広報活動を続けることで、自身のイベントに関心を持っている人達の「コミュニティ」を形成していくことは、持続的な集客につながります。簡単にできることは、参加者のメールアドレスを承諾を得て取得し、次回のイベント開催の連絡をさせてもらうことです。さらに余裕があれば、Facebookグループ・ページなどを作成し、コミュニティのメンバー同士がゆるやかにつながりあえて、関心を共有できる場を設けるとよいでしょう。コアな常連から、興味本位の新参者まで、多層的な関心のコミュニティが形成できれば、集客に困らなくなるだけでなく、イベントの質そのものも向上するはずです。

他方で、「やりすぎ」にも注意しなければいけません。例えば名刺交換をした人たちを片っ端からメーリングリストに登録し、無断で宣伝を送りつけるのは倫理的にあまり良い方法とはいえません。また、最近はFacebook上でイベントの招待を送ることができますが、個人的に、一斉送信で誰かれかまわず招待されていることがわかると、参加する気が失せてしまいます。無闇やたらに声をかけ続ければよいというものではありませんから、適度な距離感と関係性を意識しながら、居心地の良いコミュニティ作りを心がけることが大切です。

 

以上、告知の方法を中心に考えてみました。ただし、読み手の興味を惹こうとするあまり、価値を誇大に表現し、イベントの価値を偽って参加者を集めても意味がありません。内容の価値が伴わなければ、結局は参加者を落胆させてしまい、活動は持続しません。まずは「良い場作り」ありきであり、せっかく企画したイベントの価値をターゲットにきちんと届け、正しく理解してもらうことが重要です。本末転倒にならぬよう、それを念頭に入れたうえで参考にして頂ければ幸いです。※安斎勇樹ブログの過去記事を改変

 

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